2021/09/21

iPadをお絵描きに活用する―試行錯誤をiPadで

A644 Ai Yusuke
絵というのは、ボードの上で絵具を塗ったり、消したり違うものを描いたりなどと、試行錯誤を延々と繰り返すことで作り上げられるが普通です。

なぜこうなるかと言えば、人間の頭脳には一枚の絵のイメージを保持してあれやこれや空でイメージ処理する能力がないからでしょう。将棋であれば、頭の中で試行錯誤ができるそうですけどね。

それなら仕方がありません。ならば、iPad上で試行錯誤すればクールではないかと考えました。

それが、Computer Aided Painting (CAP)。商標登録出願済み(嘘です)。次のような手順でやっています。
  1. ある程度進んだところで、ボード上の絵をiPadで撮影します。
  2. ペインティング・アプリ(Procreate)で、描いたり消したり、アイデアを試行錯誤します。
  3. iPad上のアイデアを参考にしてボード上の絵を描き進めます。

再び迷いが出てきたりしたら、再び上記手順での試行錯誤を行います。1枚の作品でこの手順を10回以上繰り返すことがあります。

この方法は、時間と労力(と絵具)を削減するのに役立ちます。さらに、iPad上でならより大胆に推敲ができるというメリットもあります。ただし、iPadの画面で考えるのと、ボードで考えるのとの違い、また、Apple Pencilと筆/絵具の手触りの違いが、アイデアの出方に影響するようです。でも、いずれ一方が優れているとは言えません。

追記

全部iPadで描いちゃったらどうよ:いいと思うよ。あのデイビッド・ホックニーがiPadで描いた素晴らしい作品を発表しているのを真似して私もやってみたい。しかし、筆と絵具の手触り感は捨てがたいですから。

2021/06/18

アクリル画:厚紙で作った支持体はいける

A637 by Ai Yusuke
アクリル画の支持体には、木枠キャンバス、木製パネル、キャンバスボードなどがあるけど、私はもっぱら厚紙。画材店で買った「白ボール」を裁断して使っています。

正方形のボードに描きたいのに正方形のはあまり売っていないのが自作しだした理由です。保管に便利というのもあるし、安いというのもありがたい。

厚紙ボードの作り方:

  1. 厚紙を目的とするサイズにカッターナイフで切断。
  2. 2枚を接着剤で張り合わせる。
  3. ジェッソを塗る。
貼り合わせるとき、2枚の厚紙の「目」が直交するようにすると、反りを最小限にすることができます。それでも2~3mm程度の反りはできるけど、額装するのに問題はありません。なお厚紙の目は、厚紙を軽く丸めようとしたときの反発力で分かります。反発力が強い方向が紙の目の方向です。

私はこの方法で、F0とか30cmX30cmなどなど様々なサイズの支持体を作ります。全紙サイズの厚紙なら最大F15が取れます。ただし、大きいサイズの場合、ペラペラ・フニャフニャが気になるかもしれません。額装してしまえばどうってことないのですが。

問題があるとすれば、紙ゆえの平滑な表面でしょうか。筆で塗り付ける絵具がかなり滑ります。キャンバスにはかないません。特に、下の色が見えなくなるほどの厚塗りをしたいときに困ります。でも、ドライヤーで乾かしながら2度塗りする一手間をかければOK。考えてみれば、あの高価な木製ボードに描くのと同じです。

何度も描き直したがために絵具がデコボコになった古いボードこそ宝物です。絶妙のテクスチャ―が得られます。モデリングペーストなどで予め凹凸を付けておくのも一考の価値あり。

余談ですが、段ボールはダメでした。濡れて一旦反ると戻らない強情さと、押すとすぐ凹む軟弱さが災いします。もちろん白ボールにも紙ゆえの弱さはあります。その点、防水べニア合板こそ最強でしょう。F6程度だと2mm厚で充分でした。枠のついた木製ボードと違って保管が楽だし。でも。紙のように簡単に切れません。

アクリル絵具は何にでも描ける絵具なのだから、(キャンバスに拘らず)身近な材料の中から探してみるのも面白いのではないでしょうか。

2021/04/26

配色の良し悪しは「面積」で決まる

綺麗な色のハーモニーを作るためにはどういう取り合わせが良いのか、あれこれ悩む。音楽では「和声学」という理論に基づいて音を選べば必ず妙なるハーモニーになることが保証されている。美術にもそんな理論があれば良いのだが…

それがないんだよなぁ。でも、こんな原理があるようだ。
色には「合う・合わない」の組み合わせはない。どんな色の組み合わせも「合う」。ただし、各色の面積の比が最適化されている必要がある。
つまり、どんな色を持ってきて組み合わせても良いが、面積の割合が適切に調節されていなければならない。「どんな色を持ってきても良い」と聞けば「そりゃ楽だわ」と思ってしまうが、どっこい、面積比を調整しなければならないのだからかえって難しい。

例えば、青色の背景に赤色の四角を描いた時で、色が調和していないと判明した場合を考える。この場合は次のいずれかの策を取ることになる。
  • 色を変える(形は同じまま)
    • 四角または背景のいずれか または、両方の色を塗り直す
  • 形を変える(色は同じまま)
    • 赤色の面積を増やす―四角の大きさを大きくするか、同じ色の物体を描き加える
    • 青色の面積を増やす―四角の大きさを小さくする
留意したいのは、使う色を同じにしたままでも調和させる策が存在すること。ともすると「色がおかしいな」と見て取るとすぐ色を塗り替えようとするが、そうじゃない(もちろん、色を変えた方が良い場合もある)。

極端なことを言えば、描き進むうちに面積比はどんどん変化するから調和の具合も変わっていく。結構面倒。当然のことかもしれないけど、絵の中では「色」と「形」は一体なのだと思う。

2021/02/15

お絵描きのコツ:行き詰ったら「色」を考える

描いている途中で私はよく行き詰ります。どこを変えたらいいのか、何を描き加えたらいいのか分からなくなって、バッタリと止まってしまうのです。

そういうときは、フォルムやらバランスやら「形」のことは横に置いて、「色」だけに集中するように頭のスイッチを切り替えます

色だけに集中してチェックを開始すると、描画途中だということもあって色が良くないと気が付きます。そこで「ではどうするか」を考えだすと、絵が動き出すのですね。がらっと変わることもよくあります。

以上が、膠着状態から抜け出すための私のコツです。お絵描きだけではなく何事も視点を変えて眺めて見ることは大切ですね。