2019/04/15

「プロセス・アプローチ」で描くという流儀

今回紹介する画家Bob Ryderさんは、「プロセス・アプローチ」で描いているという方。

プロセス・アプローチ(process approach)」とは何か。氏のステートメントの一部を訳してみました:
アートを創造するには2つのアプローチがあると思います。1つはすべての努力を最終成果物である作品にフォーカスする「成果物アプローチ」。もう1つは「プロセス・アプローチ」。そこでは、最終成果物は単にそのプロセスの結果にしかすぎません。あなたがそこに行ったのだということを思い出させてくれるだけの野球や劇場のチケットのようなものです。 
私のアートはプロセス・アプローチにフォーカスしています。つまり、結果に自分自身を結び付けたりしません。ただ結果を受け入れるだけです。 私にとっては、アートを創造することは瞑想的な精神の修行であり、表現するための物理的なプロセスそのものです。精神論でもありません。心は静かだけど身体が動いている。瞑想です。つまり、境地(the zone)の中で描いているのです。 
思考や批判的な心はこのプロセスには場所がありません。それは邪魔になるだけです。内なるアーティストを始動させて、地震計の針のように紙のあちこちに手を飛び回らせ、踊っているかのように感じて、直感と表現を完全に咬み合わせる。これこそが私の制作のプロセスです。 絵を描くことはいつでもエネルギー(the juice)を表現する動的な瞑想なのです。

ということですが、「プロセス・アプローチ」を理解していただけましたか。「立派な絵を手に入れよう」などという欲を捨てて、「今まさに描いている」という瞬間瞬間をエンジョイするということ。子供の時、遊びの中ではただただ遊びに夢中であったことを思い出せは、確かに楽しいだろうなと思えてきます。

禅みたい。ただ、氏の作品を見ると、しっかり「美」を意識して描かれていると思えます。他人の目も意識しているようにも。絵であるからには、美を組み込むのは当然のことであるからして、それは追求しつつ結果は求めないというような⋯。ちょっと分からなくなってきました。

しかし、絵を描いている過程の気持ちの在り様を大切にしなければならないのはその通りだとは思います。考えることが苦しくて、その苦しさと戦うようなお絵描きになっている私にとって、学ぶべき糸口になりますかどうか。


「プロセス・アプローチ」に隣り合う言葉として、仕事効率化に「プロセス思考(process thinking)」 、心理学に「プロセス指向(process oriented)」があることを今回知りました。成果物(product)は追わなくてはならない。しかし、過程(process)こそ重要。

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