社会人になってからのことですが、鉛筆デッサンを習いに近所の美大受験塾みたいな教室に通っていたことがあります。
ガラス、布、タイヤ、アジの開きなどなど、様々なものをデッサンしました。立体のみならず材質感も再現しなければなりません。紙面から飛び出すかのように描けと言われました。
「見たままに描く」はダメです。遠近法や陰影のイリュージョンによって立体空間を表現するのと同様に、鉛筆ならではの技を駆使してイリュージョンを創り出すのです。たとえば、実物にはない無数の細い線を平行に描いて、空間における面の方向を表現します。実際にないものを描き加えるのですが、こうすると、あら不思議、手に取るように立体が認識できるようになります。
鉛筆は9Hから6Bまで10数本を使い分けます。さらに、メーカーごとの色の違いを使い分けろと。三菱ユニは赤っぽく、ステッドラーは青っぽいなど。性能が劣るステッドラーは黒鉛のノリが若干薄いことを利用して後方のものを描くのに使えなどと。
というようなな感じ。さて、習ったことが自分の今の絵を描くのに役に立っているかというと、分かりません。でも、「いざとなったら何でも描けるぞ」という気持ちの余裕にはなっているかも。
ひとつ誰にも負けない技があります。それは、鉛筆で紙を真っ黒に塗りつぶす速さ。速いです。当時、テレビを見ながらも練習していましたから。しかし、それがどうしたですね。
0 件のコメント:
コメントを投稿