2016/07/18

サムネールが怖い

指の先ほどの大きさに縮小した「サムネール」と呼ばれる小さなイメージ、作品を一覧する画面によくありますよね。これが曲者なのです。

「うまいこと描けたな」と悦び勇んでブログに張り付けようと写真を縮小すると、あら惨め。つまらな~い絵に見えたりするのです。名画だといくら縮小しても魅力が失せないから、縮小に耐えられないのは駄作である事の証拠。
真に美しい物は、全体も部分も、また、拡大しても縮小しても、美しい。
ならばという事で、筆を置く前には必ず縮小した画像もチェックするようにしています。

2016/07/16

お絵描き入門:水溶性油彩絵具も捨てがたい

先に油彩絵具がお薦めですと書きました。
お絵描き入門:油彩絵具が一番
水でも油でもどちらでも溶ける水溶性油彩絵具も検討されてはどうでしょうか。
ホルベイン アクアオイルカラーデュオ(DUO)
一般の油彩用の溶き油も使えるのですが、水だけで溶いて使うと、まるで「乾燥時間が長いアクリル絵具」みたいな感覚で絵が描けます。

界面活性剤が添加してあるから水に溶けるのですが、その量がわずかなため水に溶ける事以外普通の油彩絵具とまったく同じです。ただし、混ぜた水が多いと乾いたときに表面が艶消し状態になって油彩絵具独特の輝きが出ません。しかし、仕上げにバーニッシュを塗る事で艶有りにできるので、これは大きな問題ではないかもしれません。

なお、アクリル絵具などと混ぜることはできませんが、乾燥したアクリル絵具の上に塗る事は問題ありません。

(臭い)溶き油を使わずに油彩画を楽しむひとつの方法として紹介しました。

2016/07/12

お気に入り画家:パウル・クレー (続)

パウル・クレー
先月、パリ ポンピドーセンターでパウル・クレーの企画展を鑑賞する幸運に恵まれました。見覚えのある著名な作品が会場のそこここにさりげなく並べられているという実に見応えのあるものでした。

偉大な作品に魅了されたのは当然ですが、今回は、どの作品も綿密にテクスチャが施されている事に関心を奪われました。筆の勢いが余って塗りムラになったとか、そんな偶然任せではなくて、画家のコントロールの下、ムラムラやザラザラなどが描きこまれていると見ました(個人の見解です)。


接写
オブジェクトの境界なんかも、はみださないように気を付けながらムラムラが塗り分けられています。結構手間がかかったろうと思います。それでいて泰然としている。意志の強さを感じました。

同じような興味を持つ人はいるようで、作品に大接近してスマホで画面を接写しているのをみかけました(写真撮影OK)。今も多数の画家に影響を与えているのですね。

お気に入り画家:パウル・クレー



2016/07/11

「上手い絵」と「良い絵」 なんだそれは

P234 by Ai Yusuke
P234 by Ai Yusuke
高校の美術の時間でした。教壇に立った教師が生徒の作品を「これは上手い絵」「これは良い絵」と評価したのです。私のは「上手い絵」。級友は「良かったね」と喜んでくれたのですが、「ウワベだけ良い絵と見せかけた魂が入っていない絵」と理解した私は酷く傷つきまして、その後何十年間もその時の出来事を引きずってきました。専門の美術教育を受けていない私には、それが最後の「師」からの評価でしたし。

実際、級友が慣れぬ油彩絵具で四苦八苦している中、余裕で校庭の木々を描いたのです。教室にドヨメキが起こるほど確かに上手い(高校生にしては)。その匠さを教師は鼻持ちならぬと感じたのでしょう。自信があるからこそ泰然とした心持で絵を描いていたのですが、そういった心境までは絵に織り込めなかった。そういうこと。

だいたい「上手い絵」「良い絵」の意味を説明もせず、いきなり評価を投げつけるというのも乱暴な話。「良い絵とは何なんだ」と悩み続ける事になった教師を恨みました。でも、「良い絵」の定義を知ったところで何にもならない。今はそう思います。

  • 絵を描く人というのは、「自分にとって良い絵」を作り出すべくただただ描き続けるしかないのでないか。
  • 「良い絵」とか「良くない絵」とかは、絵を見る人が好きに決めてちょうだい。
添付の絵は最近の作品。本文とは関係がありません。